エピソード 77:誰だって、先生のことを好きよ
エピソード 77:誰だって、先生のことを好きよ
2014/10/08
マイクより:
保育園のキャシー先生って、すごくやさしいんだ。先生のことをママに話してあげようっと。
ポイント:
•時制が現在のとき、主語が “he” “she” “it” ”everyone” や “Mike” などの三人称単数なら、一般動詞に “-s” または “-es” がつく。この "-(e)s" を「三人称単数現在の "(e)s"」略して「三単現の "(e)s"」と呼ぶ。
語句とルールの説明:
・like 「好きだ」
・nice 「やさしい」「思いやりがある」
・She's nice. 「(彼女は)やさしいもの」
マイクがキャシー先生を好きな理由を述べたもので、先生のことを指す代名詞として “she” を使っている。
“She is” の短縮形 “She's /ʃiz/” は1語のように軽くさっと発音して “nice” を強調するのがコツ。
弱形の “she /ʃi/” は短い音なので “She's /ʃiz/” と発音する。「シィー・イズ」と2音節以上にならないように注意!
なお、“she /ʃi/” の一番最初にくる /ʃ/ の音は、他人に静かにしてほしいときに「シィー」という音に似ているので、一度「シィー」と言ってみて、口の形と舌の位置を確認してみよう! 唇を丸めて軽く突き出し、舌と上あごの硬い部分のすき間から擦り出す 息を前歯にあてるようにして音を出すと /ʃ/ の音を出すことができる。
・everyone 「誰でもみんな」「どの人も」
この代名詞は三人称単数扱い。
・Everyone likes her. 「誰だって、先生のことを好きよ」
時制が現在で、主語が三人称単数 の ”everyone” なので、一般動詞 “like” のあとに「三単現の "s"」 がついて “likes” という形になる。
一般動詞に「三単現の "(e)s"」がつく場合の例文:
(例文1)He likes her. 「彼は彼女のことが好き」
(例文2)Mike likes her. 「マイクは彼女のことが好き」
(例文3)She goes to school. 「彼女は学校に通っている」
(例文4)It belongs to me. 「それは私のもの」
“her” の発音には /hər, ər/(弱形)と /hə́ːr/(強形)があり、特に強調しない限り、弱形で発音するのが基本。文頭にない場合は、2種類の弱形 /hər, ər/ のうち、 /h/の音が脱落した弱形 /ər/ を使うことが多い。このエピソードでも、前の単語 “likes” に続けて /láíksər/ と発音されている。
・yummy 「おいしい」
本来は幼児語であったが、子どもや女性を中心に話し言葉としてよく使う。
・love 「大好きだ」「好む」
・most 「たいていの「大部分の」
・people 「人々」
・Most people like it. 「たいていの人は(それを)好きよ」
ここではアイスクリームを指す代名詞として “it” 「それを」 を使っている。
【人称代名詞の目的格 “him” “her” の弱形】
“him” の弱形 /im, him/
“her” の弱形 /ər, hər/
文中では /h/の音が脱落した弱形 /im/ /ər/ を使うことが多く、前の単語の音に続けて発音します。
(例文1)I like her. /láikər/
(例分2)I like him. /láikim/
(例分3)He likes her. /láiksər/
(例分4)She likes him. /láiksim/
多くの日本人は文字を見て、その単語の音を想像するので “him” や “her” には /h/の音があるものだと思い込んでいます。そこに期待はずれの弱い音が聞こえてきても何のことだかわからず、聞き取れないことが多くあります。すなわち、/h/の音が脱落した人称代名詞の弱形が英語の聞き取りを難しくしていると言えます。
文字に表されているけれども、実際は /h/の音が発音されないことが多いとわかっただけで、聞き取りがずいぶん楽になります。実際、楽になったという人が結構います。
また、発音するときに 文中の “him” や “her” の /h/の音を落として発音すると自然に音が弱くなり、弱形の音をうまく出せるようになります。人称代名詞の弱形の発音法は英語のリズムを習得するためのコツと言えるかもしれません。
なお、弱形に関しては、以下の説明をご参照ください。
【弱形】
名詞、動詞、形容詞、副詞の大部分は、それぞれの単語の意味がはっきりしていますが、これらの語は内容語と呼ばれます。
内容語に対して、代名詞、be動詞、助動詞、前置詞、冠詞、接続詞、関係詞などから成るグループがあり、それらは機能語と呼ばれます。機能語は単語そのものの意味が曖昧で、文や句の中で使われて初めて意味を成します。また、機能語の多くは強形 (strong form) と弱形 (weak form) という2通りの発音を持っていますが、2通りの発音を持つ機能語は、強調するときや特別な場合を除くと弱形で発音するのが基本です。
英語を話すときに日本語の癖が出てしまうと、弱形で発音すべきところを必要以上に強く発音してしまいます。そうするとネイティブ・スピーカーにとっては聞き慣れないリズムの英語になるので、意味を誤解されることがあります。そうならないように、弱形の音を弱形らしく出せるよう、意識して練習しましょう。
人称代名詞の所有格 “your” の 弱形 /jər/
(例文)Wash your hands. 「手を洗いなさい」
この弱形の “your ” は 前の単語 “wash” に続けて /wɑ́ʃjər/ と発音するようにしましょう!
このように人称代名詞は特に強調しない限り、弱形で発音します。